今日は、書評のブログを書きます。
今日のテーマは、
中山祐次郎「医者の本音 患者の前で何を考えているか」、SBクリエイティブ株式会社、2018年
を読んだ感想を記します。
1.内容
第1章 医者の本音
第2章 薬・手術の本当のところ
第3章 病院の本音
第4章 医者のお金と恋愛
第5章 タブーとしての「死」と老い
の5部構成で、書かれています。
①著者の中山祐次郎さんとはどのような方か
外科医です。現在、福島県郡山市の総合南東北病院の外科医長であります。
2017年2月~3月に福島県の高野病院の院長を務めていました。
②大まかな内容
ⅰ医者の考えていることと患者が考えていることに対して大きな溝があります。
患者サイドからみると医者の態度は冷たく感じます。
医者は患者に冷たくしている意識はないとのことです。
その溝の原因は、医者が分刻みのスケジュールで動いている為、患者ひとりひとりに対して詳しく説明している時間がないということにあります。
1)朝の回診のときに50人位見て回りますが、時間が限られています。決まった時間に手術があるなどして、その中で時間をうまくやりくりしなくてはならない現状にあります。
2)外来は、一人10分程度取れれば良い方であるとのこと。10分の間にカルテ記入、薬の処方、次回の外来の予約もしなくてはならない現状にあります。
ⅱ医者から「様子をみましょう」と言われることがありますが、患者としては病名が早く知りたい。
それは、「診断が確定しにくいから」「断言して後から違ったら信頼を失うから」であるとのことです。
ⅲ病院で長く待たされる理由
初診の場合、カルテを作るのに30分程時間が掛かります。検査をして、採血をし、検査結果が出るまで1時間以上は掛かります。時間の掛かる検査をすると2時間以上待たされることはざらです。
筆者によりますと、病院側も企業努力をしていないのが多いと指摘しています。
提供するサービスが「医療」である為、それ以外のサービスには目が向かない現状があります。逆に待ち時間が少ない病院があれば、その病院は流行る可能性を秘めていると筆者は考えています。
待ち時間は長いのは現状であるにしても、待ち時間を長く感じさせない工夫も必要であるとのことです。例)問診票を具体的に書かせるなど
ⅳ「医局」とフリーランスについて
「医局」・・大学の付属病院に「医局」という組織があります。医局の機能は、「研究」「教育」「医師派遣」があります。本書では、「医師派遣」について詳しく書かれています。「医師派遣」は、地方の医療を安定させる為に医局の強制力を持った集団が医師を様々な地域に派遣させることです。医局は、教育面・研究面・互助組織としては、優れていますが、医師派遣がある為、自分が決められないデメリットもあるとのことです。
「フリーランス」・・自分で技術を身に付けたいという意欲があれば望ましいが、道なき道をいくことに自信がなければ、「医局」に行った方が良いとのことです。
2.読んだ感想
この本を読んで、医者の現状が分かりました。「大まかな内容」では、4つのテーマのみを書きましたが、本の内容はもっと内容が濃く、色々なテーマがあります。医師と恋愛の関係や「安楽死のありかた」などまだまだ面白いテーマがあるので、是非とも読んで頂きたいです。
大まかな内容から感想を記しますと、医者は本当に大変な仕事であるということが改めて分かりました。医者が大変であるが故に患者サイドももっと協力しなければならないことを強く思いました。例えば、医師の診察を受ける前に自分はどこが痛いか、熱はどれくらいあるか、いつから異常があるかを把握すれば、短い問診の中でも工夫ができることの重要性を知りました。
筆者の中山祐次郎さんは外科医であり、特にハードな仕事であるということを文章から通じて感じることができました。休日自体が本当に少なく(下手をすれば月に1回くらいになります。)月に4回休みがあったとしても、電話が鳴り、途中から病院へ向かわなければならない現状を見ると本当に過酷さが伝わります。私自身、昼休みはしっかりと取れていますが、外科医は手術がある為、昼食を取る時間が本当に不規則であり、過酷さが伝わります。大まかな内容から、業務量が半端でなく、患者と向き合う時間が少ない中で苦慮している様子が感じられました。本を読んで、患者として何ができるかを考えることは大切であると思います。
大まかな内容では書いていませんが、医者として嫌な医者についても書かれています。それを参考にし、治療を受けられることをお勧めしています。
皆様が医療に関心を持たれることを願っております。
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